愛を孕む~御曹司の迸る激情~
私は大きなショックを受けながら、成宮さんの優しさにやっと気づいた。あれほど反対していたのは、このことを知っていたからだった。
「教えてくれて、ありがとうございます。」
「詩音.....」
「もう、大丈夫だから。家まで送ってください。」
私はそう言いながら、無理やりに会話を終わらせた。その瞬間、前に祐一と行ったことのあるお店の看板が目に入り、いろんな思い出が一気にフラッシュバックした。
もうそこからは、あまり記憶がない。
顔をグチャグチャにして、これでもかというくらいに涙を流した。
涙も鼻水も溢れ出し、こんなにも泣いたのは、今横にいるこの人に捨てられた時以来。元彼の車の中で、恋人の浮気を知って泣いて、何をしているんだろう....。自分で自分が情けなくなった。
そうして動き出す車の中で、私は助手席に座りながら、ただただ泣き続けた。