死んでもあなたに愛されたい
じゃま者が2名いれど、ふたりの世界は維持できているぞ!
よし! イチャイチャしてこう!
「カイウンさん! あれなんですか!?」
「ぅおっ!?」
ちょーっと油断したらこれだよ……!
つぅちゃんがいきなり魁運の腕を引っ張った。
屋台のあるほうへ走っていってしまう。
イチャイチャタイム、たったの15秒。
わざと引き離された……。
「ここはクレープ屋。気になんなら食べてみれば?」
「おすすめってあります?」
「俺は食べたことねぇから……」
「じゃあカイウンさんも一緒に食べましょ!」
盛り上がっているふたりを、グサグサ刺す、好奇と邪気。
さっきの悪意とはどこかちがう。
大衆的で、吸引力ばつぐんな、集団心理。
呪われた死神とうわさの少年と、名家の出と思しき白園学園の少女。
そんな水と油のようなふたりがセットで、わきあいあいとしている光景は、目を疑い、よくもわるくも興味を引かれる。
あたしには……いたいけそうな少女が、どうにかしてイケメンと距離を縮めようと奮闘しているようにしか見えないけれど。
「これは……いつものことなんですか?」
愁眉の赤羽くんに、あたしは肩をすくめる。
「……大変、ですね」
「たしかに、大変みたいです。彼はやさしすぎるから、いつも他人に気を遣って」
「そうではなく」
「……え?」
「ひとみ様も、大変なのではないかと思いまして」