死んでもあなたに愛されたい


ぶりっ子してるとか、だましてるとか。

そんなふうに思われちゃうのかな。



でも、だって、しょうがないよね。


ドキドキが表情や声に透けると、きっとあのクレープより甘くなっちゃう。


それは自然の摂理なの。

どうしようもできないよ。



1ミリグラムでも「かわいい」って思ってほしくて。

それが一生ものになったら、なおよし。



エフェクトをかけたようなあたしも、あたしだから。

どんなあたしでも愛させてしまえば、こっちのもん。



ぜんぶのあたしを受け止めるのは、いつかの話でじゅーぶん!




「……いい笑顔、しますね」


「えへへ~……ぇあぁ!?」




グイッ!と、やにわにあごを持ち上げられた。


目の前には、なぜかふきげんそうな魁運がいて。

あんぐりと開いたあたしの口に、何かを突っ込んだ。



……あ、甘い。




「うまいか」


「う、うん! おいひ!」




できたてクレープの、貴重なひと口目。

魁運が手ずからおすそ分けしてくれた。


あの伝家の宝刀「あ~~ん」の、ちょいと乱暴なバージョン!

ワイルドな魁運もたまらん!




「そんなうめぇか?」




あったりまえ!!

魁運が食べさせてくれたんだから!


プライスレスな味だよ!


大事に食べないと。この味を忘れたくない。


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