死んでもあなたに愛されたい
刹那、雷が落下した。
敵はもがき苦しみ、跡形もなく焼け焦げたという。
その反動で、彼女の命も燃え尽きようとしていた。
最期の力を振りしぼり、神社に子どもを置くと、彼女は力尽き、夫のあとを追うように天へと還っていった。
「本家では、カケオチしたうえに禁忌まで犯した彼女のことを、まるで白鳥の汚点のように扱ってる。……ひどいよね」
「……っ」
つぅちゃんは苦々しい笑みを浮かべた。
「本当はね、禁句なの。
彼女の――スイレンさんの、この話は」
いやに耳なじみのよい、名前。
それは。
その、名は。
本当に、偶然……?
「……すい、れん……?」
「そう、スイレンさん。彼女の末路も、お子さんのことも、白鳥家には正確には知らされてないのに、禁忌とか子どもを捨てたとか、そういう結果論ばかり見て、恥だと蔑んでる」
「…………」
「それがいやで、個人的に調べたんだ。昔、一度調べたときはすぐにお母様に止められちゃったけど。ひぃちゃんが家出してから、お父様の協力もあって、また調べ出したの」
頭がうまく回らない。
淡々と語られる、つぅちゃんの声が、遠くに感じる。
何かの予感がよぎる。
その中身を暴きたくなくて、必死に心音を落ち着かせた。