死んでもあなたに愛されたい



両肩を強くつかまれた。

つぅちゃんは今にも泣き出しそうに声を荒げた。




「白雪組の人間であり、巫女の能力も授かってるひぃちゃんが、一番危ないの! 危険なの!」




まるでカケオチかのように愛し合っていれば、なおのこと。

スイレンさんは自分と重ねて、苦しむかもしれない。息子を、自分の手で、苦しませてしまうかもしれない。



あたしが魁運と出会ってしまったから。




「すべてを知ったとき、呪いが暴走してしまえば……わたしにもどうなるかわからない。何の罪もないひぃちゃんにも、大きな被害が及ぶかもしれない。今わたしを狙ってる連中が元凶の仲間と知ったうえで、いつか対峙してしまったときには、きっともう……」


「……、うん」


「……ひぃちゃん? どうして、そんな」




やさしい表情をしているの、と。

問いかける妹に、あたしはなんて応えようか。



あたしが霊の暴走のトリガーになり得るかもしれない。



そう聞かされて、大丈夫だとか、なんとかなるとか、無責任なことは言えない。

ぜったい傷つかない確証もないし、今まで危なかったこともある。



つぅちゃんみたいな覚悟は、あたしには、無い。




「心配してくれてありがとうね」


「それじゃあ……!」


「でも、ごめん」




それでも、どうしても揺れなかった。


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