死んでもあなたに愛されたい
「ひぃちゃんを苦しめた前科があるくせして、呪いを制御することもできないヤンキーの、一体どこを信じればいいの!? そんなんだから、真実を明かしたんだよ!」
「そんなんって……」
「第一、こんな女々しいコワモテ男のどこがいいのさ!? ほんっと意味わかんない!!」
「ふつうに悪口言うな」
つぅちゃんと魁運のかけ合い、茶番ぽく感じるのはあたしだけ?
ちょっと前ならヤキモチ焼いてたかもだけど、今となってみれば……意外といいコンビかも? 相性わるいけど。
「あんたには守れないよ!」
「守る! 守ってみせる!」
「口ではなんとでも言えるよ。そういうのは呪いをコントロールできるようになってから言って!」
「おまえこそ、まだ起こってねぇことをぐちぐち言ってんな! まだただの妄想の範疇だろ!?」
「妄想ですって!? これは推測。確率の話をしてるの! 守れない確率のほうが高いから説得しようとしたんだよ!」
「だから守るっつってんだろうが!」
「できないって言ってるでしょ!? だから、今週末の体育祭、わたし本気で行っちゃうからね!」
「は!?」
どうしてそうなる!?
どこから体育祭の話が出てきた?
観に来るって言ったきり話題に出なかったから、てっきり来ないものかと安心してたのに。
「つぅちゃん、忘れてなかったんだ……」
「忘れるわけないじゃん! ずっと引っついて、監視してやる!」
「だめだ、来んな。じゃまだ」
「あれれ〜? カイウンさんのほうから、観に来るかって誘ったじゃないですか〜? お忘れですか〜〜??」
「くっっそムカつく」
魁運があたしをぐっと引き寄せ、勝ち誇った顔を見せつける。
すると反対側からつぅちゃんが腕を絡め、ふんっと鼻で笑った。
あっちにこっちに引っ張られて痛い!
けど、どうしよう! うれしい!
愛されすぎて困っちゃうなあ!
「ひとみ様、大変ですね」
赤羽くんに同情されちゃった。
今回の「大変」はしかと受け止めさせてもらうよ。
「あんたの表現よりはマシ」
「っ! ……これはこれは、痛いところを」
「ひぃちゃんよそ見しないで!」
「ひとみから離れろ!」
好きもきらいも激しめだけど、きっと無敵。
こんなに味方がいてくれるなら。
なんでもできちゃうよ。
きっと。