死んでもあなたに愛されたい
とりあえず今は、長い前髪をセンター分けしてる。
ここから編み込みするか、オールバックにするか。
イベントのある日くらい別のヘアスタイルをして、魁運にときめいてもらいたい気持ちも、ちょっとある。……うそ、8割ソレ。
「ポニーテール、どうかな?」
「……だめ」
「だめ!? なんで!? 似合わない!?」
「その逆」
似合わないの、逆?
似合うけどハゲそうだからだめってこと!?
「秋祭りのとき、してただろ」
「う、うん」
「かわいすぎたから、他のヤツに見せたくねぇ」
「えっ! ……ひゃっ!」
うなじに温もりが落ちた。
びくりと震えても、うしろ首に沿わせた魁運の手は止まらない。
上へ、上へ、這い上がっていく。
グレーの髪の毛をかきあげながら、耳の裏にたまる赤色に吐息をかけられる。
ぞくぞくする。
なんて魅惑的で、甘美な、嫉妬。
このままじゃ、あたしも、火傷しちゃう。
「おろしても、ちゃんとかわいいって思ってくれる……?」
「っ、思ってる。思ってっから、毎日やばいんだろ」
「やばいの?」
「やべぇよ」
「……ふふ、そっか」
あたしもだよ、とささやけば。
熱のこもった首筋に、顔をうずめられた。
くすぐったくて、いとおしくて。
にわとりに負けないくらい声を出して笑ってしまった。