死んでもあなたに愛されたい




「がんばってねー! ひぃちゃんこそがナンバーワン!」


「ありがとーう。がんばるね!」


「カイウンさんはせいぜい足を引っ張らないよう気をつけてくださいねー?」


「うっせぇよ」




あんな堂々と、あの死神に嫌味を言えるなんて!?


……とでも言いたそうだね、その他大勢のモブたちよ。

異様な光景にざわつきを隠せてないよ?



ケンカ腰なのが、華奢な少女であるところとか。

そんなに死神が怒ってなさそうなところとか。


そういう些細なところにもびっくりしてるんだろうな。




すごいでしょう、あたしの妹は。


やさしいでしょう、あたしの彼氏は。



気がつくのが遅いのね。





「位置について、よーい、ドン!」




パンッ!と空をはじく音で、二人三脚が幕開けた。



男女ペアということもあり、そこはかとなく、初々しい思春期の空気に。


外野もあてられて、わいわいきゃーきゃー、大いににぎわっている。



かわいらしい……けれども!


あたしたちの敵じゃあない!

勝てる! 勝てるぞ!




何度目かのスターターピストルの合図で、残りは最後の走者のみとなった。


今のところ赤軍が王座をゆずっておらず、各軍は競っている状況。



ここであたしと魁運が勝って、リードを広げるぞ!



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