死んでもあなたに愛されたい







「ねえねえ! あたしもいっしょにあそびたい!」




お。あの声は……。



翌日の学校帰り、公園の近くを通りかかると。

案の定、真っ白なランドセルが見えた。


昨日の女の子だ。


他にも、見知らぬ女の子が3人いる。

赤や青のランドセルを背に、公園の滑り台で遊びながら、どうする?と顔を見合わせてる。



「なかまにいーれーてー」

「うん! あそ」

「やーだー」



おいおい。今、Aちゃんが「遊ぼう」ってうなずこうとしてたろうが!

Bちゃん何やってくれてんだ。やーだー、ってなんだよ。わがまま言うな。遊べ。


ちなみに、AとかBは仮な。俺が今つけた。



……って、俺も何してんだ。

つい知ってるほうの子の味方をしちまってる。




「ひとみちゃんはおうちが……」




なにやらBちゃんがごちゃごちゃ断り文句を述べているが、よく聞こえない。しかしそれにCちゃんも同意してる模様。



昨日の女の子は大丈夫だろうか。

俺からはうしろ姿しか見えない。


ランドセルの純白とは対照的な、薄暗闇のような長い髪が、さらり、さらり、なびくたびに、皮膚がいやにぴりついた。



「あそんじゃダメだっていわれたもん」

「わたしもいわれた!」

「よそにいってよ。ひとりでもへいきでしょ?」



なんだかよくわからんうちに、一対多数の図ができあがってる。



『……だって、みんな、あそんでくれないんだもん』



あの様子じゃ、今日も。

あの子は、さびしそうな顔をしているんじゃ……。


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