死んでもあなたに愛されたい
「あっ!」
突然、Aちゃんが声を上げた。
俺のいるほうとは反対にある出入口へ、嬉々として駆けていく。
「ママ!」
「あら。ここで遊んでたの?」
ま、まさかのママさん登場!?
続けて、BちゃんとCちゃんも走り寄っていく。
それぞれのママさんの元へ。
え、なになに? 家族ぐるみの付き合いなんですか? ここでも仲間はずれ?
あの女の子も入れてやってよ。いいじゃねぇか、一人くらい。
「ふふ。元気ね〜」
「みんなで仲良く遊んでたの?」
「……あの子は?」
ママさんズが、真っ白なランドセルに気づいた。
昨日の女の子が彼女らと向かい合えば、ママさんズはハッとして、わが子を背に隠した。
目を疑う光景だった。
「あ、あなた……」
「もしかして、あの……?」
「こ、この子とも遊んでたんじゃないでしょうね!?」
「あそんでないよ!」
「あそぼっていわれたけど、やだっていった!」
ほめてほめて、と言いたげな子どもたちとは裏腹に、親たちの顔つきは強ばるばかりだった。
……何、してるんだ?
たったひとり、小学生の少女を相手に、大のオトナが何を。
親たちのほうがおびえているように見えるのは、俺だけ?
「ご、ごめんなさいね。この子ったら、ひどい言い方をして」
「悪気はないんだよ? ね? そうだよね?」
「ウチの子にはしっかり言い聞かせておくから。これ以上、関わらないでやってちょうだい」
ひどい言い方をしてるのは。
悪気があるのは。
言い聞かせなきゃいけないのは。
どっちだ。