死んでもあなたに愛されたい
「――ごふっ、ごほっ」
1時間が経過したころ。
女の子は血を吐きながら目を覚ました。
「大丈夫。ゆっくり、息をして。そう、ゆっくり、ゆっくり」
「はっ、……ぅ、は、はあ、」
ベンチで俺の膝をまくらに、女の子を寝かせていた。
これで合ってるのか知らないが、とりあえずの応急処置だ。
次第に落ち着いてきた女の子に、俺は心底安堵した。
よかった……。
このまま目を覚まさなかったらどうしようかと……。
「やっぱ病院に……」
何度言っても、女の子はかぶりを振る。
なんでそこだけ頑固なんだ。
「血ぃ吐いてんのにこのままってわけにはいかねぇだろ」
「もんだいない」
「なくねぇだろ!」
よっぽどのことがなきゃ、血なんか出ない。
そういうこととは長年の付き合いだからわかる。
この子も無理してるんだろ? わかるよ。
「本当に、だいじょーぶ」
「あのなあ」
「本当に! ちょっとびっくりしただけ!」
けほけほ、のどを鳴らしながら、その一点張り。
びっくりして血を吐くヤツがいるかボケ。
嘘をついているようにも見えないのが、これまた厄介。