死んでもあなたに愛されたい



「……持病か?」


「うーん、うん、そんなかんじ」


「どんな感じだよ」




女の子は笑いながら起き上がった。

いつの間にか顔色もよくなってきてる。


回復力えげつねー。
子どもは風の子元気な子ってか。




「あたしね、たまにこうなっちゃうの」


「苦しくねぇのか?」


「苦しいよ。痛いし、ちょっとかなしい」




体調のことか、さっきの光景のことか。

どっちもなのかもしれない。



きらきらしてると思ってた。


ピュアで、明るくて、真っ直ぐで。

悩みとか、苦痛とか、無縁なんじゃないかって。



全然ちがった。

この子も、悩んでいた。苦しんでいた。耐えていた。


“ふつう”なんか、きっと、どこにもありゃしない。




「……なんで、」


「なあに?」


「なんで、そんな、がんばれるんだよ」




俺はさ、あきらめちまったよ。




「妹がいるの。ふたごの、かわいい妹」


「へ、へえ……?」


「妹ががんばってるから、あたしもがんばらなきゃって思うんだ! だってあたし、お姉ちゃんだもん!」



苦しんでるのに。

苦しませられたのに。


なんで、そんなふうに、心から笑えるんだ。




「お兄さんは?」


「え?」


「どうして?」




俺は……がんばってねぇよ。


ないから、こんなんになってんだ。

少しでもマシに生きれたらラッキーって。


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