死んでもあなたに愛されたい
華奢すぎる少女には、どうしたって助けられない。
それでいいんだ。
わざわざ俺の世界を押しつけなくても。
その願いだけで充分だ。
それが一番だ。
いいよ。
助からなくても、君を憎んだりなんかしない。
約束もしないよ。
叶わない願いに、指は切れないから。
ごめんな。
……ありがとう。
「さ、お兄さん! 今日もあそぼ!」
「ええ? まだ病み上がりじゃ……」
「なおった!」
「うそつけ!」
「うそじゃないもーん! ね? あそぼーよー! やくそくしたじゃん! ね!?」
グイグイ手を引かれ、腰を上げざるを得ない。
しょうがねぇなあ、と呆れ半分にほほえめば、女の子は「やった! やった!」と飛び跳ねてよろこんだ。
夕焼け空の下、蝉も飛び回る。
ちょうどいい住処を見つけると、位置を教えるように啼きじゃくった。
それに見て見ぬふりをして、俺は女の子イチオシのかくれんぼにまた付き合ってやった。
「もーいーかい?」
「……ああ、もういいよ」
これで最後だ。
この約束を果たしたら。
もう、この子とは会わない。