死んでもあなたに愛されたい







「おらっ! クソがっ!」


――ドゴォ! ドカッ!



帰ったら宿題やって、包帯替えて。
委員会の仕事あるから明日は朝早く出て。



「おめえのせいだ! おめえのせいで……!」


――ガガッッ! ガン!!



あ、そういや、明日からだっけ。夏休み。
日中もコイツらといなきゃなのか。



「取引先におめえが謝れや!! なんでオレが……あああ゛!!!」


――ゴリッ……バァンッ!!




あぁ、最悪。




「っい、……っ」




従業員の帰った、工場の中。


閉め切ったシャッターに、叩きつけられた体。

鍵の開いた安っぽいドアから、漏れ出る怒号。


真上に見えるはずの満月も、そっと忍んでしまう。




「おめえは何のためにここにいんだ」


「…………」


「オレらんためじゃねぇのか? えぇ?」




ちげぇよ。甘えんな豚が。

なんて、バカ正直には言わない。


全身痛くて、言えねぇよ。




「ちったぁうまくやれよ」


「……うっ、ぐ、」


「生まれてこのかた、役に立ったことがあるか? ねぇよな? おめえどうやって生きてきたんだよ? 誰のおかげだぁ?」




――ドスッ!


――ォゴリィッ!!




骨が、軋む。

痛い。


とても痛いはずなのに、感覚が遅く、鈍く、衰えていく。


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