死んでもあなたに愛されたい
鬱憤を晴らすかのように、男はもはや衝動的に襲いかかった。
かくいう女の子は微動だにせず、やれやれ、と首を振るしまつ。
悠々とした間を一瞬で詰め、男の手が、グッ、とグレーの長髪をひっつかんだ。
ニヤリとほくそ笑んだのは、
「はんっ、捕まえ――」
「まーだだよー」
「――た、ァグガッ!!?」
小さな、ヤクザの娘。
一回転しながら、男のあごを蹴り砕いた。
髪の毛をつかんだ意地汚い手を、まさかの支えに利用してまで。
まんまと罠に引っかけやがったんだ。
「ケンカ売ったんならわかるよね?」
「はっ……あ……ぁ……っっ」
女の子は何もしてない。
蹴ったあと、微塵も動いてすらいない。
それでも、なぜか、愚かな男も動かない。
動けない。
金縛りにでも遭ってるかのような。
「……?」
密封された空間に、ひゅるひゅると、どこからか微風が吹き込んだ。
俺はふらつきながらなんとか立ち上がれば、その風の流れが強く、速くなっていく。
「黒ブタさん」
「ひ、ひぃ……!」
「それじゃ、地獄に堕ちよっか?」