だから、言えない


私は、残業するふりをして、
村薗先輩が帰るのを密かに待った。

そして、村薗先輩が部屋を出ると、
すぐに後を追った。


「村薗先輩!」

一階に降りる階段の途中で、
先輩を呼び止めた。

「ことちゃん。
どうしたの?」
「すみません、ちょっと…
お頼みしたいことがあるんですけど…」

一緒に階段を下りながら、
私は、昨日の佐山さんとのことを話した。

「それはことちゃんのせいじゃないよ」
「でも…」
「雨に濡れたせいで
熱がでたかどうかなんて、
分からないでしょ?
それに、連が後で
風邪を引かないように
対処することもできたはずなんだし」
「まぁ…そうですけど…」
「もしかして、
ただ連のお見舞いに行きたいだけなの?
タオルの話はその口実?」


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