だから、言えない

急にそんなことを言われて、
顔が熱くなるのが分かった。

どうしちゃったの村薗先輩!
なんでそんなこと言うの?

「なんちゃって。あはは」
でも、またいつもの村薗先輩の表情に戻った。

なんだ、冗談か。
もう、びっくりした。


村薗先輩は車通勤だ。
先輩の車には何度か
乗せてもらったことはある。
地震や事故で
電車が運転見合わせになってたとき、
家の近くまで
送ってもらったことがあるから。

村薗先輩は車まで傘をさして、
私をいれてくれた。
車までは近いし、傘を開くのが面倒だから、
そのまま行こうとした私を見て、
気をつかってくれたのだ。

先輩が私のために
助手席のドアを開けたので、
私は先輩の横顔を見れる権利を
得たようだ。

エンジンがかかると
暖房が入って、ゴォーと音がなる。

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