だから、言えない
「最近寒くなってきたね」
「そうですね。
夜になると特に」
「寒かったらブランケットが
そこに入ってるから」
「ありがとうございます」
先輩は鞄を後ろの席に置いてから、
ネクタイを緩めて、
ボタンをひとつはずした。
くふふ。かっこいいなぁ。
「こらこら、なにをたくらんでるの?」
村薗先輩が手の平を優しく私の頭に乗せた。
「なんでもないですよ」
「本当?にやにやしてたけど」
「そ、それはですね…」
村薗先輩が私を見てクスッと笑った。
「じゃあ、行こうか。
途中、スーパーによるね」
「わかりました」
村薗先輩の車に乗る度に
していることがある。
それは、運転してる先輩の顔を
見つめること。