値札人間
「東郷、さっきからキョロキョロしてどうした?」


不意に先生にそう聞かれてあたしはひきつった笑みを浮かべた。


「い、いえ。なんでもないです」


みんなの額に変な数字が見える。


なんて言えば病院に連れていかれてしまうかもしれない。


あたしは必死で勉強をするフリをし、ノートと教科書を睨みつけた。


しかし、いくら目で数式をおいかけてみても、計算式を解いてみても、やっぱりみんなの数字が気になって集中することはできない。


アマネをトイレに連れて行った時、鏡の中にあの数字は映らなかった。


ということは、実際に額に書かれている数字ではないということだ。


それに、みんなの反応を見ている限りあたし以外の全員が肉眼でも数字が見えていない様子なのだ。
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