煙の中の彼

「お気に召して貰えましたか?」

高月さんの声ではっと我に帰った。

「はい!すごく美味しかったです!
今度はちゃんと注文しますね!」

「良かったです。是非よろしくお願いいたします。
お次はのお飲み物はいつものでよろしいでしょうか?」


高月さんの笑顔はダンディで素敵だ。

「んー、今日はバイオレット·フィズで」

そう注文した私を見て高月さんは少し動揺したように瞳を揺らしてこちらを見た。

「よろしいのですか?」

高月さんが注文にこう返すのが珍しかったのか聖も私を見た。

「ええ。バイオレット·フィズで。」

「……かしこまりました。」


私は聖がカクテルに詳しくないことを祈りながら高月さんが出してくれたバイオレット·フィズに口をつけた。
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