【短編】恋愛モルモット~恋の価値観~
「ねぇ。宮城の中ではさ、このクラスの人、みんな……あたしも含めてさ……」
言葉を途切れさせたあたしに、宮城の視線が向けられる。
昨日の事があってから少しだけ近くなったような感じがする宮城に、あたしは小さく首を左右に振った。
「なんだよ」
「ごめん、続き忘れちゃった」
小さく顔をしかめてから、宮城がまた本を読み始める。
そんな宮城にあたしは作った笑顔を向けながら、ゆっくりと笑顔を戻していった。
『宮城の中では、クラスの人みんなが同じ位置づけなの? あたしも?』
たったそれだけを聞くのを躊躇ったのは……頷かれるのが嫌だったからなのかもしれない。
昨日、あたしは確かに教室以外の宮城を知ったのに……
頷かれてしまったら、せっかく手にしたモノが光を失ってしまいそうで、恐かったのかもしれない――――……
……理由は、あたしにもよく分からないけど。
※※※
「行くぞ」
「え……え、今日も?!」
校門を出ると、昨日のように宮城がいて……その姿にあたしは驚きを隠せなかった。
昨日、あんなつまらないデートプランを提案したあたしをまた指名するなんてっ……
「もしかして、嫌がらせ?」
「なんでそうなるんだよ」
「あたしのボキャブラリーのなさを笑うつもりなんでしょ」
「随分捻くれた考えだな。別に他の場所に連れて行けなんて行ってないだろ」
「え……じゃあまたあの公園行くの? ……もしかして気に入った?」
歩き出している宮城の隣に追いつきながら問い掛けると、宮城はあたしを見下ろして……口許を緩ませた。
「悪くはないってとこかな」
一度見たハズのその微笑み。
なのに、昨日よりも上手な反応が出来なかった。
あたしがした事はと言えば……宮城の微笑みにしばらく目を奪われた後、俯く事。
それだけだった。
公園までの間、やけに静かなあたしを宮城は少し気にしてるようだった。
たまに落とされる宮城の視線が気になりながら、あたしは口をキュッと閉じたまま公園へと脚を進める。
頭の中に、宮城のあの顔ばかりが浮かんでいた。
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