【短編】恋愛モルモット~恋の価値観~


「なになに~? 気になる男子でも出来た? あれ、ってか先輩はもう吹っ切れたんだ?」

「先輩は……なんかさ、恋愛感情っていうよりは憧れに近かったような気がする。

恋愛ってさ、付き合っていくと相手の悪い部分も見えてくるもんでしょ?

あたしは……先輩のそうゆうとこは見たくないなって思う。

みんなのものでいいから、キラキラしてるところだけ見てたいなって……」

「出た~、杏奈の恋愛論」


茶化すように笑う夏美を肘で突いてから、あたしはまた男子のバスケを眺める。


「あたしの恋愛感ってそんなにおかしい?」

「や、おかしくないよ。ってか合ってると思うし。

ただ……杏奈みたいにそんな素直に言葉にするのが珍しいだけじゃん?」


首を傾げてあたしを覗き込む夏美に、あたしは少しだけ安心して……またしても持論を語り始める。

一度語り始めるとなかなか止まらないのはあたしの悪い癖だ。

……特に恋愛論。


「あたしの中で付き合うってね……なんていうのかな。

お互いの悪い面を見ても、それをカバーできるくらい好きだから、みたいな……

どんな面を見ても、知っても、その人だからって理由で許せるみたいな……

そうゆう絶対的な感情なんだと思うんだけど……これってやばい?」


言ってみたものの、あまりこんな風に考えてる人っていないような気がしてきて急に不安になった。

クラスの女子はわりと簡単に付き合ったり別れたりしてるし、ナンパされてその日のうちに付き合ったなんて話もたまに耳にする。


だから、こんな考え方って少女マンガ大好きな、王子様大好きなあたし特有の考え方なのかなって……


じっと見つめるあたしに、夏美は笑って……あたしの頬をつねった。


「いいと思うけど?

……そうゆう恋愛ってみんな憧れてるよ。

大好きな人と、真剣に向き合って恋愛する事を、みんな望んでると思うよ。


まぁ、軽く付き合ったりしてる人もいるけど、別に杏奈は杏奈でいいじゃん。

恋愛感なんて10人いたらみんな違うんだから。

それに変えろって言われたって変えられるもんじゃないし、そのままでいいんじゃん?」


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