【短編】恋愛モルモット~恋の価値観~


夏美の言葉はやけに説得力があって、まだ何かぶつくさと用意していたあたしの言葉を封じ込めた。

確かに……もしもここで、間違ってるよ。なんて言われたって今まで貫き通してきた価値観を、今突然変えるなんてあたしには出来ない。

じゃあ今日からは軽くいってみるかな。なんて、そんな学食の定食決めるみたいに日替わりで決められない。


どんなに重いって思われたって

どんなに古風だとか言われたって、これがあたしの恋愛感で……そんな恋愛感を持ってるのがあたしなんだから。


「……とか言いながら、時に夏美チャン。

今の彼氏で10人突破したよね」

「よく覚えてるねぇ。そう。11人目~。今回は目指せ3ヶ月~」


……いい子なのにな、夏美。

こんな風にあたしを慰めて励ましてくれるのはいつも夏美の心強い自信満々の一言なのに、恋愛感はあたしとは確実に違うんだよね。


何人もの人と付き合ってって見る目を養ってから運命の人を探すらしい夏美。

決して男子に媚びずに、潔くてハキハキしてる夏美は、夏美の恋愛の仕方は……不思議とあたしも嫌だとは思わない。

それはきっと夏美が、その時の彼氏一人一人と向き合ってるからだ。


……あたしみたいに理想だけを追いかけて、先輩に勝手な理想像を押し付けて好きになったのとは訳が違うから。

きっと……あたしはあのまま先輩と付き合ってたら、どんな小さな欠点でもそれを見つけた時点で幻滅してたのかもしれない。



「あたしって子供……」

「そこが可愛いんじゃーん。憧れるのも反省するのも、恋愛に関する何もかもが一生懸命でさ。あたしは好きだよ」



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