【短編】恋愛モルモット~恋の価値観~


あたしとの距離、1メートルほど残して止まった宮城に見下ろされる。

……あたし、そんなに気に障るような事したのかな。


いつもとは様子の違う宮城に戸惑って俯いていると、宮城の声がずっとあたし達の間にあった静寂を破った。


「なんで昨日来なかった?」

「え……なんでって……」


思いがけない問い掛けに聞き返すと、眉を潜めた宮城が続ける。


「俺は、里咲に頼んだのに代役立てるなんて随分無責任だな」


そう言われて、ようやく宮城の言いたい事を理解する。

……なるほど。

宮城は昨日あたしが約束を破ったのが気に入らないんだ。

……頭固いからね。


でも……でもさ、そんなの――――……


「だって……だって、宮城、あたしといるとイライラするって言ったじゃん。

一緒にいると落ち着かないって、言ったじゃん。

だから……」

「ああ、落ち着かないよ」

「……」


一体何が言いたいんだろ……

これ以上ないくらい落ち込んでるんだから更に追い討ちを掛けないで欲しい。


またしてもはっきり言われてしまったあたしは、キュッと結んだ唇を噛み締める。

……もう泣きそう。

もうやだよ……も~っ!!


「あたしはっ! 宮城にそう言われて傷付いたんだよ!!

すごくショックだったの! そんな事言われたのに、なんでそんな約束守らなくちゃいけないの?! 

確かに約束破って悪かったけど、あたしは自分の事嫌いな人と一緒に居られるほど強くないしっ!!

……それにっ、あたし、宮城の事っ……んぐ……??」

「……ちょっと待て」


思い余って告白しそうになったあたしを、宮城が止める。

顔を上げると、宮城は片手を軽く額に当てて、もう片方の手であたしの言葉を止めていた。

……口を塞いで。


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