【短編】恋愛モルモット~恋の価値観~


それは……

あの噴水の時のデジャブ――――……


びっくりして振り返ると、そこには宮城がいてあたしを見下ろしていた。

……おっかない顔で。


「あの……?」

「ちょっと来い」

「え……えっ……」


続々と教室に入ってくる生徒達に逆らうように、あたしの腕を掴んだまま教室を出る宮城。

一匹狼の宮城の取った異様な行動に、教室にいた生徒達の視線は宮城とあたしに釘付け。


『里咲、クールビューティ怒らせるような事したんかな』

『つか、宮城が女子に触ってるの初めて見た。よっぽど怒ってんのかな』


そんなひそひそ話にギクリとしながらも、どんどん廊下を突き進んでいく宮城に引きずられるようにあたしはその後ろに続くしかなくて。

途中、予鈴が鳴ったけど、宮城は気にしていないみたいだった。


そして辿り着いた屋上。

鍵のかかっているドアを、宮城は針金であっという間に開けてしまい、あたしを屋上へと押し出す。


今まで頭上を覆っていた、少しくすんだ白い天井の代わりに、あたしの頭の上に秋の高い空が広がる。

急に感じる開放感に気持ちよさを感じながらも……今はそれどころじゃない。


後ろでバタンとドアを閉めた宮城を恐る恐る振り返った。

宮城もドアを閉めた姿勢からゆっくりとあたしを振り返る。


あまりに強い視線を向けられて口も身体も動かせずにいると、あたしを見据えた宮城がスタスタとあたしに向かって歩み寄ってきた。


……心臓がドキドキうるさい。


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