不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


 連れて行かれたのは、赤坂にあるラグジュアリーホテルの最上階三十六階にあるミシュラン三ツ星のフレンチレストラン。

 洗練された落ち着いた雰囲気の店内からの眺望は絶景で、ガラス越しすぐの席へと案内されると、思わず目の前に広がった息をのむ景観に「わぁ……」と歓喜のため息を漏らしてしまった。

 こんなハイグレードホテルの最上階にあるレストランに来るなんて、生まれて初めての経験。

 席についてすぐ、左右に並んだキラリと光るカトラリーに緊張が高まる。

 たしか、料理ごとに外側から使っていくんだっけ……?

 高校生の時、テーブルマナーという授業で習ったことが一度だけある。

 その後にその知識を復習する機会に恵まれなかったから、なんだか頼りないどこか曖昧な記憶だ。

 私がテーブルの上を見てドキドキしているうちに、桜坂社長とやり取りを交わした黒服のスタッフが「かしこまりました」と立ち去っていく。

 入れ替わるように別のスタッフが席までやってくると、すでにテーブルに設置されていた磨かれた細長いグラスにスパークリングウォーターを注いでいった。

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