不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


 客層はやはり女性が圧倒的に多い。

 思い思いにスイーツをプレートに盛り、優雅なひと時を楽しんでいる。

 千晶さんに手を引かれフロアを席へと歩きながら、多くの視線が集まるのを感じていた。

 女性たちの注目の的になっているのは、もちろん千晶さん。

 端整な顔立ちに、仕立てのいいスーツを着こなすすらりとした長身。

 その完璧な容姿に見惚れてしまうのは、私にだってよくわかる。

 まだ直接こうして関わり合う前、千晶さんは自分とは違う世界に住んでいる人だと思うほど遠い人だった。

 身分も容姿も、その存在自体が。

 自分との接点なんて考えるはずもない、雲の上の人。

 だから未だに、今のこの関係が信じられないとふと思う時がある。

 多くの女性の目を引く千晶さんが、私みたいな明らかに子どもの手を握っているのは、周囲から見ても不釣り合いで反感を買う光景なのだろう。

 案内されたのは、他のテーブルとは別に用意された個室のような席だった。

 窓際の奥まった席は中庭が近くに感じられ、天気もいいからか窓が開け放たれている。

 まるで庭園でお茶を楽しむようなその特別な雰囲気に、案内されると「わぁ……」と思わず声を漏らしていた。

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