つまり、会いたいんです。
「そうだね、下着はいらないな」
……なんか、なんかね。含みが……。
「でもかわいい寝巻き買おう。モコモコしたのも可愛いですよね。なんか楽しくなってきました。久しぶりに」

そう言って榛瑠はクスクス笑った。
もう、やだ。

彼は笑いながらグラスにワインを注いだ。

「ね、だいぶ飲んでない?もしかして酔ってる?」
「そうでもない。夕方から飲み始めてまだ二本目」
ちょっと、ちゃんと飲んでるじゃない。
「どうしたの?いつも飲まないくせに」
「だから、今日はそういう日にしたんです」

なんで?

「ねえねえ、本当は体調悪いとか、なんかあった?」
「ないよ」
「ほんと?」
「本当」

この人、ちょっとのことならサラッと、隠し通しちゃうしなあ。ああ、もどかしい。

「ああ、もう。そばにいたら、グラス取り上げて、おでこピタってするのに」
「何だ、それ」
「額に手を当てるってこと」
「元気だよ。流石に今は嘘つかない」
「私が安心するの」
なんかジタバタしたくなってきた。

「あー、やだもう。ここにいればいいのに!」
一花はそう言ってスマホを置くとその前に頭を埋めて丸くなった。悲しいとも怒れるとも違うんだけど、もどかしくて、涙がにじむ。

「よしよし」
近くで優しい声がした。とっても近く。でも、本人はとっても遠く。涙が溢れてきた。

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