つまり、会いたいんです。
「一花」
名前を呼ばれて顔を上げる。
「一花?泣いてるの?」
「だって……」
我ながら子どもっぽくて情けない、けど、もうそろそろ、限界なんだもん。

「困ったね」
榛瑠の呟きとともに画面を白い指先が覆った。一花はスマホを手に取って、自分の頬に当てる。

ひんやりと冷たいばかりで、そこに映し出された温かさは伝わってはこない。それでも。

「ごめん。ちょっと落ち着いた」
「やっぱり、電話は苦手だな」
「……ごめんね」
頬に感じるひんやりした画面越しに呟かれた声に一花は謝まった。

榛瑠は微笑んだ。
「そうだね。泣かないで。声聞いてるだけでも結構いたたまれないから」
「ごめんなさい。もう、大丈夫だから」
心配させたいわけじゃないのに、いつもこうなっちゃう。
「俺が大丈夫じゃないの」
「……」
ごめんなさい……。
また泣きそうで、我慢する。

「酒飲んどいてよかった」
「え?」
「アルコール入ってなかったら、今頃、車に乗ってそっち向かってますよ。それで嶋さんに門前払いされてる。……だから嫌なんだよ、声聞いたり、顔見たりするの」

「はい?」
呟くような相手の言葉に、一花は首を軽く傾げた。
何?え?どういうこと?

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