つまり、会いたいんです。
「……一花?……お嬢様?眠った?」
返事はなかった。榛瑠は自分の手を画面からどけた。微かに寝息が聞こえる。
榛瑠はそこに見えている一花の指の上をこんこんと軽く指で叩いた。
「まったく、自分だけだと思ってるからな、この人は」
榛瑠はスマホを持ち上げると呟いた。
「俺はね、抱き潰したいよ」
寝返りを打ったのか、一花の指が画面から消える。寝言をむにゃむにゃ言っている。
榛瑠は微笑んだ。
「でも今はゆっくりお休み、俺のお嬢様。……良い夢を」
それから「愛してる」とささやくと、そっとキスをして電源を落とした。
Fin