つまり、会いたいんです。
榛瑠は自分もソファに座って一花のほうを向くと頬を軽くつねった。

「にゃに」

「なんだかリラックスしてないよね。どうしたの」

「してるよ!してるけど。その……」一花は言葉を探す。本人にもよくわからないことを気づかないで欲しいなあ。「その、久しぶりだから……」

榛瑠は微笑んだまま一花の額にキスをする。

「寂しかった?」

聞かれて一花は口を尖らせた。

「寂しかったよ。あんまりかまってくれないし」

「毎日連絡取ってたでしょ」
「そうだけど」
声はなかなか聞けなかったし。

「ごめんね。用事のない電話は苦手なんだ」
「知ってる」

知ってるから我慢したんだもん。

榛瑠が一花に再びキスをする。ついばむように軽く顔中あちこちに。一花は体に力が入る。
そのまま唇にゆっくり優しく深くキスされる。

やがて榛瑠が離れるのがわかる。一花は胸を呼吸で大きく動かしながらそのままでいたが、そのまま彼の動きが感じられず目を開けた。

「榛瑠?」

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