前世が猫の公爵は令嬢に撫でられたい
おまけ オリビアの夢
オリビアは、懐かしい夢を見た。それはまだ幼い頃にたまに見る夢だった。

オリビアは、夢の中ではエレーヌという名前で、ジョシュアという名前の夫がいた。商家の次男である夫は穏やかで優しい人だ。

夫の実家は大きな貿易商だったし、夫もそこで働いていたが、跡取りではなかったため、暮らしは慎ましやかだった。数人の使用人と、娘と、飼い猫もいた。平凡だが幸せな暮らしだった。


そんなエレーヌの人生をいつも夢で走馬灯のように見ていたオリビアは、これはきっと予知夢だと思っていた。


いずれ、自分はジョシュアという名前の夫と結婚して娘を授かるのだと。予知夢なら名前が違うのがおかしいが、幼いオリビアは気にしていなかった。


同じくらいの女の子たちが王子様に憧れるなか、オリビアは王子様に興味がなかったので、夢の中の夫が商家の次男でも良かった。

ただ、自分が予知夢を見ていることにドキドキしていた。



が、あれはやはり予知夢ではなかったとオリビアは知ることになる。


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