前世が猫の公爵は令嬢に撫でられたい
辺境伯夫人は夫の眉間のしわをのばしたい
グレース・ポートマンは伯爵令嬢だ。そして、もうすぐ結婚するはずだった。
が、婚約者の心変わりのせいで、婚約破棄された。

しかも、貴族子息令嬢が通う学園の卒業式でである。
大勢が見ている前で、身に覚えのない罪で責められ、婚約破棄を言い渡された。

ここで、か弱く泣き崩れれば、悲劇のヒロインになれたかもしれない。しかしグレースは可憐な見た目とは違って、気が強い。

元婚約者を言い負かし、彼のプライドを叩き潰してやった。

最終的に、元婚約者は「お前のそういうところが嫌いだったんだー」と半べそをかきながら叫んできたので、「私もあなたの摂取した栄養が全て顔をつくるのに使ってしまったのではないかと思うくらい頭が空っぽなところ大嫌いです。」ととどめを刺して終わった。


そのせいで、グレースは気の強い女として、貴族中に知れ渡ってしまった。
ただでさえ、自分に落ち度がなくても婚約破棄された女は傷物扱いされるのに、グレースはそこにさらに自分で骨まで折ってしまった感じである。

まともな結婚は望めない。そう思っていたが、その気の強さを買われ、辺境伯との縁談が持ち上がった。


辺境伯は今年17歳になるグレースより10歳年上の27歳。
国防と外交を担う国の重要人物だが、その見た目と性格のせいで普通の令嬢からは敬遠されている。

鍛え上げられた体は、普通の貴族男性の2倍くらいの大きさに見えるほど迫力がある。
しかも、盗賊討伐の際に、負った怪我の後が頬にある。
しかも、しかも、性格は不愛想で生真面目、常に眉間にしわが寄っている。

そんな男がグレースの結婚相手となった。
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