オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~

モタモタとはいったいなにか。
晴臣はクスッと笑って肩を震わせる。


「いつだったか、美紅がこの別荘に来たときに迷子になったことがあっただろう?」
「そんな昔の恥ずかしい思い出話なんてよして」


かくれんぼをしていて、絶対に見つからないところに隠れようとして山深くにひとり分け入り、結果迷子になったのだ。
日没間際に晴臣が見つけ出してくれたおかげで、暗い夜をひとりで過ごさずに済んだ。


「あのとき本当は――」
「晴臣さーん」


晴臣がなにかを言いかけたそのとき、琴乃がキッチンに入ってきた。


「あ、いたいた。一慶さんが、タープを張るから手伝ってほしいそうです」
「あぁタープね。オッケー」


軽い調子で返し、晴臣がキッチンから出ていく。


「美紅さん、お手伝いしましょうか?」


晴臣を追いかけると思いきや、琴乃がひょっこりと顔を覗かせる。
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