消えた卒業式とヒーローの叫び



「……モヤモヤした」

 未だに抜けない余韻のせいで、私はまだおかしな気分が晴れなかった。ゴムベラでねっとりとした思い生地を混ぜるように、胃の中がぐるぐる回ってお腹が減らない。

 顔は熱く、ぼうっとしていた。

「モヤモヤ?」

「うん。……多分悔しかった」

 そこでようやく気がついた。
 凄いと思った、感動した。そしてその分、悔しくて仕方なかったのだ。

 私もこんな作品を作りたいと、その手法を盗むことに集中して、隅々まで観れば観るほどその技術は素晴らしくて。感動して悔しかった。

「永遠って、何か作ってんの?」

 正直に頷いた。そこで映画研究部に興味を持った理由を何となく察したのだろう。上原くんは先程より声を大きくして話し始めた。


「マジか、それは知らなかった。俺もすげぇ悔しかった。やっぱり、プロとアマの差って結構大きいよな」

 また何かを考え込むように、今度は宙を見上げた。

 上原くんには何が見えているのだろうか。文化祭で、あれだけのものを披露する実力があるにもかかわらず、それでも及ばないと考える理由は何だろう。

 最初からそうだった。その技術や答えを知るためだけに、映画研究部を訪れていたのだから。

「ぶ、文化祭のも凄かったと思う」

 私が急に話し始めたせいか、ゆっくりとその表情に目をやると、キョトンという言葉がぴったりと当てはまるくらい、目が点と化していた。

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