甘くない恋の協奏曲 -Track.1 ホウキボシ

イントロ

「…3度目のフェスは、OBとして…か」
 私は、幕の向こうから聞こえてくる歓声や、期待の声に耳を傾けながら呟いた。
「でもさ、また出られるって嬉しいじゃん?」
 チームメイトの那穂(なほ)が当然、と言いたげに尋ねる。
「そりゃそうだ。1年前の熱が、また滾ってくるみたいな気がする」
 早く歌いたい、と来華(らいか)が言う。
「いつも通り、僕たちらしく歌えばいいんですから」
 透利(とうり)は冷静…でも嬉しさが、言葉の端に見えていた。
「去年も一昨年も最高のステージだったからね。お客さんの期待は相当だよ」
 朔葉(さくは)が、やる気に満ちた様子で言う。
「……また、みんなで一緒に歌えること…すごく嬉しい」
「…俺たちの奇跡は、終わってないよ」
「あぁ、まだまだ延長線上にたくさんある」
「最後のように言わないでくださいよ」
「本当だよ。チームを組んだのは、つい最近なんだからね、絢音(あやね)」
 チームメイトの声を背中に受けながら、私は微笑む。
 ──生意気なヤツらめ。
「……輝くよ、みんな」
「SUNRISE(サンライズ)の名の元に…ね」
 私はくるりと後ろを見る。
「───……いくよ!」
『オウッ!!』
 3度目のステージは、今幕を開けた──。
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