甘くない恋の協奏曲 -Track.1 ホウキボシ

 コンコンと、校長室のドアをノックする。
 ここまで来る途中で、何人かの生徒とすれ違ったけれど、とりあえず無視しておいた。
 1人、違う制服でいる。
 全く、私の今の状況にふさわしい。
「はい、どうぞ」
「失礼します」
 校長は、思ったよりも若かった。
 30代…くらい?
 まあ、そりゃそうか…ここは私立の学校だもの。
「ようこそ、春蕾音楽学校へ。私は校長兼教師の春咲(はるさき)花(はな)よ」
「よろしくお願いします、高槻絢音です」
「ええ、よろしく。それでは、体育館へ行きましょう」
「……え、どうしてですか?」
 私は面食らって、目をパチクリ。
「紹介するのよ、みんなに」
 …げ。

        * * *

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