マリンブルーの囁き
「………え…?」
あまりにも私が想像していたものとはかけ離れていた言葉に、反応がかなり遅れてしまった。
間抜けな声を出してポカンとしている私を、夏向は今も尚じっと見下ろしながら、手首を掴んでいない方の手を伸ばす。
その手で私の頬を覆うようにした後、その長い指でそっと私の目元をなぞった。
くすぐったさを感じるそれに反射的に目を瞑《つむ》ったのと、
「…傷ついたって、認めた方が楽になる」
そう言った夏向の声が鼓膜を揺らしたのは、多分ほぼ同じだった。
「…っ」
喉元が締め上げられたように酸素が行き届かなくなる。苦しさを帯びていくなか、ギュッと閉じた瞼《まぶた》の裏に、熱い何かが込み上げてくる。
夏向にその言葉を言われるまで、私が必死にそれを堪えていたことすら気づかなかった。
涙なんて、出ないと思ってたのに。