愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
佑のご両親は、先日新たな女性を紹介すると言ってきたらしい。
うちの両親は頻繁に連絡をしてきて、戻ってこいと言う。私たちが勝手に引越し、住所を教えないのも気に食わないみたい。
その気になれば、興信所なりなんなりを使って調べるんだろうけれど、まだそこまでには至っていない。

このままなら両親を無視して籍を入れることになる。
最近はそれも仕方のないことかもしれないと思っている。佑と生きていくことがすべてだもの。

佑は私を愛していると言ってくれた。私も長く抱えていた思いを伝えられた。
私がほしかったものは佑の心。それが手に入った今はつらいことなんか何もない。

両親は時間をかけて、説得していこう。それが何十年後だって構わない。
でも、私の考えとは別に、佑は陸斗建設を辞めることも考えているみたいだ。これ以上、竜造おじさまたちに干渉されるなら、別な道を行くと言っている。
それは私との生活を守るため。金銭的には今までより不自由も出てくるだろうけれど、そんなことは問題にならないと言う。
現時点、佑が急にやめては立ち行かなくなる仕事が多く、竜造おじさまも強硬手段には出てこないので、陸斗建設に勤務は続けている。だけど、この先はどうなるかわからないといったところだ。

「思ったより美味そうだな」

帰宅してお好み焼を焼いている私に、佑が漏らした感想だ。

「どういう意味よ。美味しいんだから」

ホットプレートでじゅうじゅう焼いたお好み焼には私の好きな具材が全部入っていて、混ぜているときから佑は「うわあ」という顔をしていた。出来上がってみれば、好意的だ。
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