愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
さらにひと口食べて、頷く。

「悔しいけど美味い」

たぶん、佑的にはごちゃ混ぜ過ぎて節操がなく映るんだろうな。だけど、私は威張って言う。

「でしょ?これが庶民の味よ!」
「いや、庶民だから、じゃないだろ。これはソースがいい仕事をしているだけで、具材全部の相性がいいわけじゃ……」
「ビールに合うからいいの」

ふたりでいるとずっと喋っている気がする。昔のこと、今のこと、他愛ないこと、真面目なこと。話題がつきない。
幼馴染で夫婦って、こんなときいいものだなあと感じる。

食事を終えホットプレートを片付けていると、佑が後ろにやってきた。
洗い物をする私の腰に腕を回す。

「やめてえ、ホットプレート洗うの大変なんだから」
「あんなにたくさん食べたのに、咲花のお腹、ぺったんこのままだ」

そんなことを言ってお腹をさわさわくすぐるので、私は肘で佑の腕をつついた。

「や~め~て」

佑は全然やめてくれない。まいったなあ。
でも、くっつきたい気持ちはわかるので、私は首をひねって彼の頬にキスをした。

「もうちょっと待ってなさい」
「はーい。俺、風呂入れてくる」

佑は渋々離れてくれた。両想いになってから、家での佑はべったり甘えん坊だ。
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