愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
心臓が不穏な音をたてる。なんでいるんだろう。いや、私と話をしにきたにきまっている。
勝手に引っ越して連絡もろくに返さないと思って、業を煮やしてきたのだろう。父まで仕事を休んできているのだから、あの人たちは本気だ。
もしかして、両親がここに来るのは、今日が初めてじゃないのかもしれない。
いつも定時後、体調が回復するまで残業をしたり、トイレで休んで帰ったりしていたから会わなかっただけで。
両親がお腹の赤ちゃんの存在を知ったら、どうなるだろう。結婚を許してくれるだろうか。
いや、わからない。そんな楽観はできない。まだこの子は安定期に入っていないのだ。堕胎を迫られるかもしれない。
今は、あの人たちに会うわけにはいかない。
息を詰めて、私は通用口をオフィスの壁に沿って逆方向に歩き出した。
両親に気づかれることなく、隣の駅まで歩き、そこから電車に乗った。心臓がずっとドキドキしていた。
翌日、事件は起こった。私は総務部の内勤についていて受付には立っていなかった。すると、受付から内線が入る。
『不破さん、ご両親がお見えです』
ぎょっとした。会社帰りに会えないからって、職場を訪ねてくるなんて思わなかった。上司に断り、受付の外に出ると、エントランスのベンチにかけた父と母の姿。
会うのは一月の婚約を白紙に戻せと言われたとき以来だ。
勝手に引っ越して連絡もろくに返さないと思って、業を煮やしてきたのだろう。父まで仕事を休んできているのだから、あの人たちは本気だ。
もしかして、両親がここに来るのは、今日が初めてじゃないのかもしれない。
いつも定時後、体調が回復するまで残業をしたり、トイレで休んで帰ったりしていたから会わなかっただけで。
両親がお腹の赤ちゃんの存在を知ったら、どうなるだろう。結婚を許してくれるだろうか。
いや、わからない。そんな楽観はできない。まだこの子は安定期に入っていないのだ。堕胎を迫られるかもしれない。
今は、あの人たちに会うわけにはいかない。
息を詰めて、私は通用口をオフィスの壁に沿って逆方向に歩き出した。
両親に気づかれることなく、隣の駅まで歩き、そこから電車に乗った。心臓がずっとドキドキしていた。
翌日、事件は起こった。私は総務部の内勤についていて受付には立っていなかった。すると、受付から内線が入る。
『不破さん、ご両親がお見えです』
ぎょっとした。会社帰りに会えないからって、職場を訪ねてくるなんて思わなかった。上司に断り、受付の外に出ると、エントランスのベンチにかけた父と母の姿。
会うのは一月の婚約を白紙に戻せと言われたとき以来だ。