【短編】M e m o r y
畳まれている携帯を開くと、ディスプレイには着信中の文字と。
……知らない番号。
名前が出ないってことは、登録してないってことだよね?
…うわ、気持ち悪っ。
非通知でもないし…。こういうのが一番困るんだよね。
家電ならまだしも、携帯だと…。
なんて思いながらも
鳴り止まない携帯に苛ついて、つい出てしまった。
「…もしもし」
声のトーンは出来るだけ低めで。
知らない人相手に「もしもぉーし?」なんて軽やかに言えるほど、私は遊び人寄りではない。
それに、
知らない人にアホの子だと思われたくない…。
いらぬ妄想をして返答を待っていたら、
…なんとまぁ、嬉しそうな声が聞こえた。
《美、俺のこと覚えてる!?》
。