名前を知ってはいけないウワサ
「ただいま~」

結局家に着いたのは夜の10時頃になってしまった。
靴を脱いでリビングに入ると、私の分の夜ご飯がラップで包まれてテーブルに置いてあった。

「ごめんなさい...」

最近家族と会話する頻度が減ってきている自覚があった
私はもっと話したいのに...

「あ、忘れてた。」

スカートのポケットからなる通知音で、渚と別れるときに言われた言葉を思い出した

『ねー、寝ちゃったの?』
【ごめんごめん、今帰ってきたの。】

通知を見ると十分前からかなりの通知が届いてる。
普段からかまってほしいオーラを出しているだけあって、渚からのこの通知の量は納得していた
しかし渚以外に、一件通知があった。

「宏からも来てる...はぁ...」

宏から来たメールの内容は、神社に行く日にちについてだった。

『みんなに聞いたら明後日なら空いてるっていうから明後日にしようと思うんだけど、望結はどう?』

やっぱり本当は乗り気じゃない。下手したら死ぬ危険もあることに足を突っ込むほど好奇心があるわけでもないし...

【わかった。何を準備していけばいいかな?】

そんなことを考えるけど、結局断ることはできなかった...
宏からの返信を待つ間、私椅子に座って夜ご飯を食べ始める。


__おいしい。私もまた久しぶりにお母さんとご飯食べたいなぁ...__


父は単身赴任で東京に行ってしまい、今はお母さんと二人で住んでいる。
家のことは何もせず、学校から連絡が来て担任から怒られた時も、お母さんは私を責めることはしなかった
そんなに優しいお母さんなのに、私は最近自分から距離を置いている。

「本当の気持ち、伝えたいのに...あ」

携帯から通知音が鳴り、携帯を見ると見たことのない番号から電話がかかってきていた。
普段なら出ないけど、なんとなくその電話に出てしまった

「もしもし?」
【サツキジンジャノウワサ、ニンギョウ、ホコラニマツラレタニンギョウ】

電話先はノイズがすごくてうまく聞こえないけど、どうやら私たちが行こうとしている神社のことを話しているようだった

「人形...なんでそのことを..」
【ナマエヲシッタラシヌ....ソノニンギョウノナマエハ...】

私が耳から携帯を離すのと、電話が切れたのは同時だった。
再び携帯を見ると、宏から新着のメールが来ていた
「なんだったの...あれ...」
急いで夕食を食べ終わり、私は寝室に急いだ。
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