じれったい恋愛…~運命の人に気づくまで~
人通りの少ない住宅街にある公園。
そこのベンチに座って話すことにした。
『陽子、大丈夫?少しは落ち着いた?』
先程まで混乱して泣いてしまった私をりこちゃんは心配してくれる。
『うん。大丈夫。
でも、どうしよう…』
『これで隆君が諦めてくれたらいいんだけど…』
『そうだね…。
でも…難しいね。
だってさ、陽子だって水谷先輩に振られても好きな気持ちは止められないでしょ?
隆君も同じなんじゃないかな』
『……』
そう言われて、ハッとした。私も先輩にこんな気持ちにさせているのかな、と。
『もうさ、時間が解決してくれるのを待つしかないのかもね。
そのうちさっ、隆君もいつの間にか誰かと付き合ったりしてるかもしれないよ?』
そうなれば、私の気持ちは楽になれる、そう思った。
りこちゃんには、そうなることは難しいことが分かっていたけど、今の私の気持ちを少しでも和らげるために、そう言ってくれたのだ。
それがわかっていたから、りこちゃんの優しい心に感謝しながら、頷いた。
『まぁ、陽子は大変だね。よくもまぁ、次から次へと告白されるよね~』
こんな風に茶化すようなことを言って、この重たい今の空気を壊そうとしてくれていることが、りこちゃんの優しさだとわかっていた。
私たちは考えても、どうにもならない事だと分かっていながらも夕日が半分以上、地平線へと消える頃まで話していた。