一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「いったいどういうことなんですか? 拓海さんが刺されたって。どうして病院じゃなくてホテルなんですか? 容態は?」
「悪かったね、こんなところまで呼び出して」
謝罪はあとでいい。今はとにかく拓海の様子が知りたい。
「白鳥さん」
「こっちだ」
もう一度尋ねようとした実花子を遮り、白鳥が走ってきた方向を指差す。くるりと方向転換すると、あとについてくるよう指示した。
早く拓海に会いたい。たとえ意識がなくても、その顔を早く見たい。その一心だった。
気持ちばかりが急いて今にも転びそうになりながら、白鳥の背中を追う。
エレベーターが二十九階へ到着する。ふかふかの絨毯が敷かれゴージャスな調度品や絵画が飾られているが、今はそれに感動している余裕がない。ドアをいくつか通り越した先で、前を行く白鳥の足が止まった。振り返り〝ここだよ〟と目で合図する。
そこにはスーツを着た屈強そうなふたりの男性が立っていて、物々しい雰囲気を漂わせている。拓海を警護でもしているのだろうか。
実花子は緩めた足でゆっくりとドアの前まで進んだ。