一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
ようやく拓海の顔を見られるうれしさとは裏腹に、ニュースの内容が実花子を臆病にさせる。
どんな状態でいるのか見当もつかないが、重体だと報道されていたから病院のように医師たちがここに詰めているのかもしれない。なにか特別な事情があり、病院ではなくホテルにいるのだろう。
拓海がベッドに力なく横たわる姿を想像して胸が苦しくなる。緊張に高鳴る胸を押さえ、大きく深呼吸をした。
白鳥が開けてくれた豪奢なドアをそっと開けると、その先に広い空間が現れる。まるでヨーロッパのお城のような部屋とでもいったらいいだろうか。優美なデザインと洗練された調度品が並んでいる。足を踏み入れていいのか迷うような豪華さに圧倒される。スイートルームのようだ。
まだ太陽が昇りきらない午前。南向きなのか、大きな窓から眩しいほどの光が射し込んでいた。その明るさに一瞬瞼を閉じて、再びゆっくり開ける。
拓海はどこにいるのだろうか。ベッドルームはどこか。
ここまで早足で来たくせに、急に足が重くなるのを感じた。拓海がベッドに横たわっているのを目の当たりにするのが怖いのだ。
たくさんのチューブに繋がれている拓海がこの部屋のどこかにいるのかと思うと、重体の現実から逃げられなくなるから。
「ほら、実花子ちゃん」