一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~

舌を絡め合い、強く、時に優しく吸われ、拓海がここにいることを実感する。拓海を失わずに済んで本当によかったと、心から思った。

長いキスのあと、拓海は濡れた実花子の唇をそっと指先で拭った。


「どうして無事なら無事って、連絡をくれなかったんですか?」


見つめ合ったまま、先ほどの質問をもう一度拓海にぶつけた。


「ごめん、本当に取り込んでいたんだ」


それでも、電話やメッセージの送信くらいできるだろう。

そこで実花子は重要なことを思い出した。拓海にとって実花子は、単なる〝都合のいい妻候補〟に過ぎないからだ。実花子が心配するだろうとまで考えが及ばない。
だから、連絡は二の次だったのだ。実花子がこんなに取り乱すとは、思ってもいなかったから。つまり、実花子の完全なる片思い。形ばかりの恋人だ。

急速に心が冷やされていく。


「それじゃ、そろそろ会社に戻らないと」
「このことはみんなには内緒で」
「わかってます」
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