一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


タオルを被って顔を隠したまま、バスルームへ向かった。
ぼんやりとしたままシャワーを頭にあてて、それが冷たい水だったことに驚いて「ひゃっ」と声を上げる。


「もう、やだ……」


そう口に出した途端、涙がこぼれた。
冷たいシャワーで濡れた頬が、妙に生暖かい。拓海と知り合ってからの実花子は、どうも涙もろくなった気がしてならない。

大学時代の彼氏と別れたときだって、涙は零れなかった。別れ話の最中こそしんみりしていたが、家に着いた頃にはケロッとしていた。
その後、大量に買い込んできたスイーツを食べ終えたら、失恋すら忘れるくらいだった。

なのにどうして……。

堰を切ったように流れる涙は、どうにも止められなかった。

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