一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「うん」
「キャンセルできない? 今夜こそ、新しい人を紹介させてよ」
日本酒がズラリと並んだ居酒屋というのは大いに気になるが、新しい人を紹介されるほうには興味を持てない。
「ごめんね、千沙。そんなに素敵な人なら、千沙にはどうなの?」
千沙だってフリーだ。太鼓判を押して勧める男性なら、ぜひ千沙の彼氏候補に。相手の男性にしてみても、そのほうがいいに決まっている。実花子よりは千沙のほうが喜ばれるだろう。
「私はいいの。実花子ちゃんにと思って探してるんだから」
「ごめんね。でも私、まだそういうのはいいの」
「……まだ椎名社長のことを吹っ切れない?」
千沙は顔を近づけて声のトーンを落とした。
「その話はもういいの。千沙は私の分もおいしい日本酒を飲んできて」
千沙の肩を掴んで回れ右をさせる。その背中をトンと押した。