一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「ごめん、実花子」
喉の奥のほうから絞り出したような声だった。実花子が苦しくなるくらいに切ない目で見つめる。
「ひどいことを言って実花子を傷つけた」
「……いえ」
拓海はもう一度実花子を抱き寄せた。
「嫌いになれるはずがないのに」
拓海のかすれた声が耳に響く。
抱きしめる腕の力が強まると同時に、胸のわだかまりが薄れていく。
きっと実花子よりも拓海のほうが苦しかったはず。意思と反することを相手にぶつけるのは、自分の心にも嘘をつかなくてはならないから。そんな思いをしてまで実花子を守ろうとしたのだと知り、胸がしめつけられた。
「では、こちらにどうぞ」
看護師の声とともにカーテンが勢いよく開けられる。べつの患者を案内しようとしたらしい。看護師は実花子たちを見て目が点になった。
そのうしろから患者らしき年配の女性が顔を覗かせて、同じく目を瞬かせた。